「自立を促す名コーチ」
小学1年生のとき、授業参観がありました。先生からAかBかの二択問題が出題されたのですが、Aを選んだのは僕だけ。ほかのみんなはBを選びました。もちろん正解はBでした。
でも、家に帰ったら、父はそんな僕をほめてくれました。「おまえはみんなの意見に左右されず、自分の意見をちゃんとみんなの前で言った。答えは間違いだったけれど、そのほうが大事なんだ。偉かった」と。
このとき、みんながどう言っていても自分でしっかり考えて意見を言うことが大事だと強く思って、以来ずっとそうしてきました。このときのことは今でも鮮明に覚えています。
叱られた思い出もあります。小学生のとき、試合中に仲間のことを悪く言ったら、ベンチまで入ってきて叱られました。「人の気持ちを考えないのはダメだ。言い方を考えなさい。その人がやる気をなくしたら、おまえにもパスはこない。人のせいにしたらダメだ。自分もほかの人も成長できる方法を考えなさい」と。
菊原 志郎(きくはら しろう)/小学4年から読売クラブ(現・東京ヴェルディ)でプレーし、15歳でプロ契約、16歳で日本サッカーリーグ最年少デビュー。20歳で日本代表に選出