サッカーの天才ではなく、努力の天才
僕は15歳でプロになったときに天才ともてはやされましたけど、そう呼ばれるのには違和感がありました。自分ではサッカーの天才じゃなくて、努力の天才だと思っていたんですよね。
一流になった人はみな、「自分は誰よりも練習した」と言います。僕も、誰よりもサッカーに打ち込んできたという自負がありました。強い気持ちで人の何倍も繰り返しいろいろな練習をやってきて初めて楽しめるレベルまで到達できたのに、「天才」という一言で片付けられるのは心外でした。
(中略)
同じシュートを1000回やる努力と、その次を想定して相手ゴールキーパーと駆け引きしたり、こうやったら面白いかなと楽しみながらしたりする努力は違います。だから、飽きずにずっと続けられるんです。努力するのに飽きないっていうのも大事なことですね。
(中略)
毎回ちょっとずつ違うんです。納得いくまでやるとか、もっとうまくやる方法はないかとか。苦しい努力じゃなくて、楽しいと思いながら夢中な状態のまま、たくさん量をこなせるってことですね。要するに、自分では努力と思っていないわけです。
菊原 志郎(きくはら しろう)/広州富力足球倶楽部アカデミー育成責任者