伸びない人の習慣
競争は避けて通れないとはいえ、勝ち負けだけにこだわると人間関係がギクシャクします。うまくいったときだけ喜んで、うまくいかないときは、「まあ、こんなものかな」と振り返りをすることもなく、今話したとおり一喜一憂を繰り返す感じです。
保護者も同じく一喜一憂を繰り返して、1年後、2年後に子どもがどう変わるかというところにまで目がいかない。
(中略)
その日暮らしで今日やったことの一喜一憂だけでは、今日の失敗はマイナス以外の何ものでもなくなってしまう。
失敗しても、足りないものに気づけたおかげで、自分は1年後、より大きくなれると思えれば、今日1日が価値あるものになります。
また、保護者も「何やってるんだ!」と責めるのではなくて、「ああいう失敗から学ぶことで、人は成長できるんだよ。今日の失敗を今後に活かそうね」と言えれば、「今日はよかったな」となりますよね。
(中略)
僕も若い現役選手だったときは、自分で一度こうと決めたら曲げなかったんですが、育成年代の日本代表チームはヴェルディのトップで指導する側になってからは、一辺倒なやり方では無理だと気づきました。
いろいろなタイプの選手がいて、我の強いタイプと気の弱いタイプではアプローチの仕方を変えないとダメなんですよね。だから、「思考の柔軟性」というのは一つの重要なキーワードです。
菊原 志郎(きくはら しろう)/現役引退後はヴェルディのコーチを経て、U-15、U-16、U-17日本代表、JFAアカデミー福島、横浜F・マリノスジュニアユースでコーチを務め、2011年U-17ワールドカップメキシコ大会では日本代表を18年ぶりのベスト8に導く