誰か一人のいいところを見つけてホメる
「カーネギーくんはな、小さいころ、ぎょうさんウサギ飼とったんや。で、そのウサギの餌を集めるのに、一人じゃ無理やったから、他の子ども使たんや。でな、カーネギーくんはウサギの餌をぎょうさん持ってきた子どもの名前をウサギにつけたったんや。こんなことされたらめっちゃうれしいやん。人って、自分の名前めちゃめちゃ大事にしとるからな。せやから子どもたちはどんどんウサギの餌探しに行ったんや」
「しかも、この方法、カーネギーくんは大人になってからも使たんや。カーネギーくんは同業者をどんどん合併、吸収して会社を作ってったんやけど、そん時、相手の会社の名前を残すようにしてたんや。そしたら合併相手の社員も頑張って働くやろ。そもそもカーネギーくんはな、鉄鋼王て呼ばれてんねんけど、実な鉄鋼のことあんまり知らんかったんやで」
「カーネギーくんは鉄鋼のことはよう知らんかったけど、人の自尊心を満たすことを徹底的に知っとったわ。だいたいな、これ当たり前のことやけど、ホンマに当たり前のことなんやけど、成功したいんやったら絶対誰かの助けもらわんと無理やねん。そのこと分かってたら、人のええところ見つけてホメるなんちゅうのは、もう、なんや、大事とかそういうレベル通り越して、呼吸や。呼吸レベルでやれや! 二酸化炭素吐くのと同じくらいナチュラルにホメ言葉言えや!」
水野 敬也(みずの けいや)/作家。代表作に「夢をかなえるゾウ」シリーズほか