人の長所を盗む
「マネするんはな、お客さんを喜ばせるためなんや。人を喜ばせるという目的に照準が合うてたら、人のマネすることに恥ずかしさなんか感じてる暇あれへんのや。いや、好き勝手パクってええってことやないで。たとえば同業者のやってることマネさせてもらうんやったら、それならに筋通さなあかんこともあるやろ。でもな、早う成長して、早う技術覚えて、もっと多くの人をもっと喜ばせたいいう思い、それが何より大事なんや」
(中略)
「ウォルマートの創始者サム・ウォルトンくんは自分の店にいるよりライバル店にいる時間の方が長かったて言われるくらい研究熱心やったんや。ウォルトンくんは『自分がやったことの大半は他人の模倣だ』と公言しとるで。あとアップルのスティーブ・ジョブズくんかて、側近の人間から『他人のアイデアを盗む天才だ』って呼ばれてんねん。それをセコイとか卑怯とか、そういうレベルで見るんは、単純に上っ面しか見てへん小っさい人間やねん。もっとお客さんのこと見んと。ええか? お客さんのために、模倣するんやで」
水野 敬也(みずの けいや)/作家。代表作に「夢をかなえるゾウ」シリーズほか