ヨコありがとう 安らかに

カテゴリ :
監督の呟き
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投稿者 :
木藤 大輔

私にとってかけがえのない友人であり尊敬する後輩のヨコ(横山知伸)が帰らぬ人となった。

あまりに突然の知らせに文字通り言葉を失い、とてつもなく深い悲しみに包まれた。
あの人懐っこい笑み、大胆不敵なプレー、握っていると思えない程の柔らかすぎる握手、
すべてが懐かしく、愛おしく、もう二度と会えないかと思うと心から悲しく残念でならない。

胸が張り裂けそうなこの状況で、彼について何かを書くことに悩みに悩んだが
今の若いサッカー小僧たちにも彼みたいな熱い男がいたことを知ってほしいし、
何より私自身が彼ほどのナイスガイの存在をずっと忘れたくないという思いから、
彼との思い出を少しではあるが綴ることとする。

 
出逢いは、私が大学4年の頃。
1浪して一般入試で早稲田に合格、ア式蹴球部(早大サッカー部)の門を叩く。
私自身、卒業後もコーチとしてア式コーチを務めることになるので
彼の入学から卒業までの丸4年を共に過ごすこととなる。

そのあまりに柔らかすぎるボールタッチから生まれた通称が「ソフティ」
絶対にやってはいけないDFラインでの股抜きを平然とやってのける技術と図太さ。
「なんか技おしえてよ」1対1を挑むも取れないばかりか、あっさり股抜きしてくる遊び心。

何度思い返してみても、彼はいつでも笑っていた。その瞬間瞬間を楽しんでいるかの様に。
彼の人生は試練の連続。帝京高校も、早稲田も、一般で入り、勝ち取り、全国制覇。
どんな逆境も楽しみながら乗り越えてきたあの笑みに、私もまた魅了された。

トップチームのメンバー入りは2年次(1年次後半だったかもしれません)
2年次に総理大臣杯(夏の全国大会)で途中出場するなど頭角を表すと
3年次から徐々にスタメンに定着、インカレ(冬の全国大会)準優勝に貢献
4年次では不動のセンターバックとして関東リーグ準優勝とインカレ優勝に導く

先輩後輩を問わず、良いものを“盗む”ことにもアンテナを張り巡らせ
「今○○(後輩)のインサイドパスをマネしてるんですよ〜」
なんて話をよくしてくれたものだ。向上心が凄かった。

一方で文武両道を体現していた彼。
学業と、サッカーと、アルバイトと、何事も器用に楽しんで過ごしていた。
奇遇にも地元が一緒だったこともあり、バイト先の焼肉屋の話で盛り上がったりしたものだ。
4年次には大手証券会社への内定を勝ち取るものの、
プロの夢を捨てず、1試合1試合を懸命にプレーし、
確かインカレ(4年次冬)期間中だったと思う、スカウトの目にその活躍が留まり
卒業間際にして念願のプロ契約を勝ち取った。入団先は川崎フロンターレ。

等々力へ、彼のプロデビュー戦に駆けつけたりもした。
18番、ボランチ。
デビュー戦にしてMOM(マンオブザマッチ)に輝いた。
その時に買ったキーホルダーを今でも大事に使っている。

「ユニフォームちょうだい」
そんなお願いにも気安く応えてくれ、ACL出場時の記念ユニフォームをくれたりしたものだ。

またいつでも会える

彼はチームを転々とし、少しずつ疎遠になり
闘病し、引退し、スタッフとして第二の人生を歩み始め、

元気かな また会いたいな
そんな思いだけが馳せ
昨年、ルーツのある石神井のチームスタッフとは彼の話で盛り上がり

先日のア式のイベントでも会えず
また会いたいな いつ会えるかな

そんな折、突然に、本当に急な訃報が飛び込んできた。

「もし時間を戻せるなら」
滅多に考えることではない
でも今回は、そう思った。

もう一度だけ会いたかった。

大好きだった。選手として、友として。

心よりご冥福をお祈りします。

ありがとう ヨコ



Kido Daisuke

※参考にさせて頂きました『https://www.frontale.co.jp/f_spot/pickup/2008/vol_04.html

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