「判断できる選手を育てたい」
よく聞く言葉です。私も、何度も使ってきました。
でも、最近はそれだけでは足りないと思っています。
判断できるとは、選べるということ。
そして、選ぶためには、その選択肢をつくるための準備が必要です。
つまり、「組織を回復する」こと。
アンビシオンのプレーモデルには、3つの主戦略があります。
1つ目は、自分たちの意図する場所にボールを運び、それを有利に進めること。
2つ目は、自分たちは整っていて、相手は崩れている状態をつくること。
3つ目は、自分たちの「場」をつくること。社会性や関係性まで含んだ文脈です。
これらを、ただ与えられた答えとして守るのではなく、ゲームの中で能動的にアクションを起こす理由として実感してほしい。
それが、私たちのトレーニング設計の出発点です。
技術はあとからでも伸びる。
でも、思考は先に耕しておきたい。
成長する選手は、考え方を先に変えている。
だから、うまくさせるより、うまくなりたくなる頭を育てたい。
それが、能動的なサッカーを支える内側からの準備だと思っています。
サッカーは、不確実性がつきまとうスポーツです。
だからこそ、まず「整う」ことから始める。
攻撃でも守備でも、最優先は「組織を回復すること」。
ポジションを整えて、位置的な優位を取り戻す。
それがあってこそ、選択肢が生まれます。
選ぶ前に、選べる状態をつくる。
この順序を、プレーの中で自然に体得してほしいと思っています。
思考を変えれば、技術の入り方も変わる。
だからこそ、土台となる考え方から積み上げていく必要があります。
小学生のうちは、どう動くかの方が注目されがちです。
でも、動き回ったあとに戻る場所がある子は強い。
だから、私たちは小学生から立ち位置に意味を持たせるトレーニングを始めています。
止まることで、全体が見える。
整えることで、選べる。
動くことの前に、整うことを知る。
この感覚が中学生になってからプレーに深みを与え、「いい選手」へと育っていくのだと思います。
「考えた分だけ、選べるようになる」
この言葉の裏には、トレーニングの積み重ねがあります。
考え続けるからこそ、いつか自然に選べるようになる。
その日が来ることを信じて、問いと設計を繰り返し、今日もグラウンドに立っています。
能動的なアクションが湧き出すサッカーを、ただ自由にやるのではなく、自ら秩序をつくり出すことで実現していく。
そんなプレーモデルの土壌を、小学生から育てていく。
それが、私たちが描く一貫指導のあり方です。