夢中と必死の違いとは
日本の場合、子どもたちが勝つことだけに必死になっている姿をよく見ますね。それは日本の指導者が楽しむことより必死さを求めることが多いからではないでしょうか。それによる犠牲はあると思います。
（中略）
失敗は成功の元で、失敗から学べば将来必ず役に立つ、人を成長させるものなのに、日本では子どもの頃から「失敗するな」って言われるのがよくないし、そもそもうまくいくばかりが幸せじゃないですよね。
結果に一喜一憂する感じは、僕が現在いる中国も含めてもどこにでもあるとは思います。
でも、失敗を含めて得た経験に価値を置くというのは、すごく大事な考えだと思うんです。勝つときもあれば負けるときもあるから、将来をよくするためにはその経験を活かす必要がある。しかも、経験は次の世代にタスキリレーできますからね。
必死かつ失敗が許されない状態だと、「こうやったら楽しめるんじゃないか」というアイデアは出てこなくなります。常に夢中な状態だったら、いいアイデアがどんどん浮かぶんですよね。
菊原 志郎（きくはら しろう）／広州富力足球倶楽部アカデミー育成責任者
