たった一人の1期生

カテゴリ :
監督の呟き
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投稿者 :
木藤 大輔

大変喜ばしい事に、創設1年目にして卒業生を送り出すができました。
メンバーのみなさんはご存知でしょうが、彼はチームでただ一人の6年生。

1年前の3月9日、アンビシオンを立ち上げる時に彼はなぜかここにいました。
選手としての進路を決める大事な一年。
彼は、敢えてこの“たった一人の6年生”という環境を選択したのです。

練習では常に自分より年下。
いわゆる「大会」つまり公式戦に彼は一度も出場することのないまま最後の一年を終えました。
アンビシオン主催の6年生大会では、4チーム中3位と、11チーム中グループ予選最下位。
『実績』という言葉とは無縁のまま、時が過ぎていきました。

誰と比較するでもなく、常に「今の自分より上手くなる」という気持ちで取り組んでいました。
公式の大会にも、もちろん参加したかったことと思います。
それでも彼が目的を見定め貫いた事は、『自分を高める』という確固たる信念。
「ここなら自分の思い描く選手に近付ける」と選んでくれた環境が、ここアンビシオンでした。
彼は、例えたった一人でも、俺と共にサッカーをする道を選んでくれたんだろうとさえ思います。

そんな環境で、彼は秋に3つのジュニアユースに合格し、自らの進路をその手で勝ち取りました。
彼からは“戦う相手は常に自分自身であるという事”と、“信じて貫く事”の大切さを学びました。
そして、彼の成長を裏付ける何より決定的な要素が“人間性”です。

最後の日のエピソード。体育館の施設管理人さんにこんな事を言われました。
「かわいいですね〜。何歳ぐらいなんですか。今朝も『上にボールが挟まっちゃったので長い棒を貸してくれませんか』『ありがとうございま〜す!!』ってすごいしっかりしてて。うちの息子もこのチームに入れたかったな〜。もう中1なんですけどね〜」
この一連のやり取り、おそらく卒業生の彼なんですね。練習前、バスケのゴールに蹴って入れようとして見事に挟まってたので(笑)

卒業するまでは「早くもっと上手くなれよ」としか思わなかったけど(笑)、
今一度冷静に振り返ってみると、とても健全で順調に成長してくれたんだと思います。
前述した3つの要素、性格も多少は影響しますが、間違いなくサッカーを通じて成長しました。

卒業しても、いつでも遊びに来てほしい。
彼にとってのアンビシオンは「いつでも帰って来られる“家の様な存在”」で在り続けたい。
アンビシオンの伝統は、彼の卒業を以てスタートしたんだと思います。

彼だけでなく、今から出逢うすべてのアンビシオン生にとって、ここが第二の家。
「おかえり!!」
いつでもそう言える準備をして、俺や、次の伝統を作っていく後輩たちが待ってます。

新しいステージでの活躍を心から祈る。
卒業おめでとう!!

Kido Daisuke

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