経験と準備。
悔しいが、この差が全てだった。
今野のあのPK献上は絶対に有り得ない。
どの国のDFも、ペナルティエリア内では慎重になる。
簡単に飛び込まないし、ハンドを与えたくないから手を後ろに組んで守備をするほどだ。
それは「ペナルティエリア内のファウルはPK」というルールを身を以て理解している証拠。
あそこは我慢して寄せながらコースを切れば十分対応できた。後ろからのタックルは絶対ダメ。
PKを与えるぐらいならシュートを打たれた方が幾分マシ。ましてやフリーの状況ではなかった。
こういった賭け引きなど経験の部分は、超一流の戦いの中からしか学べない。
采配は最後まで疑問が残った。
なぜ青山?? 良い選手なのは勿論分かってる。使うならもっと前(1・2戦)に試さないと。
おそらく“縦への意識”をチーム内に示すための起用だったのだろう。
でもやはり、選手たちが口々に言う「日本らしさ」を表現するのであれば遠藤だったのでは。
今まで「日本サッカーに遠藤あり」ってぐらい中盤を任せ続けてきた彼に最後を託さないか。
また、後半にハメス・ロドリゲスが出てくる事ぐらい誰が考えても分かりそうなもの。
「10番が出てくるからスペースは与えるな」等々の準備はしていたのか。話し合ってたのか。
山口を投入してロドリゲスの自由を奪おうという采配、完全に後手。そこで1枚は勿体なさ過ぎる。
守備の選手は(ボランチも含めて)基本的に90分間使いたい。90分プレーできる選手を出すべき。
山口の1枚が何とかなっていれば、調子の出ない香川の代わりに攻撃のカードを切れただろうに。
そもそも、調子の上がらない香川の才能に頼らざるを得なかったあたり、準備不足が否めない。
齋藤、大迫、、、調子の良い選手を使わなかった。使えなかった。
4年間の成果は、勝ち点1という結果で示されました。
試合だけを見れば「誰が良かった、悪かった」等の判断はできますが、問題はそこではない。
5月13日のメンバー発表時、「歴代最強の日本だ」と自信を持って送り出した選手たち。
そしてこれが日本サッカー界の現状。悔しいけど、世界との差はまだまだ大きい。
試合運び・賭け引き・メンタリティといった部分が、現状では通用しないことがはっきりした。
日本が完敗したコロンビア、実に16年ぶりのW杯出場。
あんなに強い国が毎回出られないのが南米予選の厳しさ。揉まれます。強い訳です。
日本が本気で世界に通用するチームとなるには、アジアを基準に決めていては遅い。
Jリーグを世界最高のリーグにするか、海外トップクラブ所属組を今の倍にするのか、、、
W杯に出場した選手だけではなく、監督・スタッフだけではなく、
Jリーグ含めた日本のプロサッカー、サッカー協会の強化体制、
もっと言うと僕ら育成指導者を含めた日本サッカー界全体の課題です。やるべき事は多い。
最後に。
今回、W杯前にアンビシオンの選手たちに優勝国を予想してもらいました。
なんと9%の子が「優勝は日本」と予想しました。
叶いませんでしたが、その予想を聞いた時は本当に嬉しくなりました。
こんなことは10年・20年前では絶対に有り得なかったことです。
下の年代を中心に、メンタリティは少しずつではあるけど確実に変わってきている。
今回のW杯を観ている子たちが、間違いなく日本サッカー界の将来を握っています。
とりあえず日本のW杯は終わりましたが、切り替えて、僕は僕の仕事をします。
夢(大志)を抱く少年たちに負けないぐらい、一日一日を全力で接し、指導していきます。
Kido Daisuke